推定1RM、またはe1RMは、1セットの重量と反復回数から、1回だけ挙げられる最大重量を推定した値です。ボリュームロードは各セットの重量 × 完了した回数を合計します。回数PRは、ある重量で記録した反復回数の自己最高です。それぞれ答える問いが異なるため、1つが改善しても3つすべてが増えるとは限りません。
| 指標 | 分かること |
|---|---|
| 推定1RM | このセットから、計算式は1回で挙げられる重量をどのくらいと予測するか? |
| ボリュームロード | 集計したセットの重量 × 回数の合計はいくつか? |
| 同じ重量での回数PR | この重量で、以前より多い回数を記録できたか? |
ボリュームが減っても回数記録は更新できる
バーベルベンチプレスの3回のセッションを例に考えます。数値は計算を説明するための架空のもので、利用者の成果でもトレーニングプログラムでもありません。各セッションには、完了したワーキングセットが3つあり、ウォームアップは含めません。同じ種目のバリエーション、バーベル全体の重量を記録するルール、比較可能な動作で行ったと仮定します。
| セッションと完了したセット | 数値から分かること |
|---|---|
| A:80 kg × 8、80 kg × 7、80 kg × 6 | 21回、ボリュームロード1,680 kg。最良セットのEpley推定値は101.33 kg、表示は102.5 kg。 |
| B:80 kg × 9、80 kg × 6、80 kg × 5 | 20回、ボリュームロード1,600 kg。最良セットのEpley推定値は104 kg、表示は105 kg。 |
| C:82.5 kg × 8、82.5 kg × 7、82.5 kg × 6 | 21回、ボリュームロード1,732.5 kg。最良セットのEpley推定値は104.5 kg、表示は105 kg。 |
Bの最初のセットは、Aより1回多くなっています。80 kgでの以前の記録が8回なら、9回は回数PRです。残りのセットでは回数が減り、セッション全体のボリュームは80 kg、約4.8%減っています。最良セットが改善したことと、記録上の合計が減ったことは、どちらも事実です。
Cでは、Aより2.5 kg重い重量で8回を記録しています。ボリュームは3回のセッションで最大ですが、表示されるEpley推定値はBと同じです。概要と一緒に元のセットも残してください。丸められた代表値では失われる詳細が分かります。
9セットの記録例をCSVでダウンロード(英語)。上の入力値を架空の例であると明記して収録しているため、表計算で各合計を再現できます。
推定1RMの計算方法
Epley式とBrzycki式は、実測した1回最大重量との比較研究がある、よく使われる2つの式です。[1]当サイトの計算ツールでは、重量を1セットの負荷、回数をそのセットで完了した反復回数として、次の形を使います。Epley = 重量 × (1 + 回数 ÷ 30)、Brzycki = 重量 × 36 ÷ (37 − 回数)。
Aの80 kg × 8では、Epley = 80 × (1 + 8 ÷ 30) = 101.333… kg、Brzycki = 80 × 36 ÷ 29 = 99.310… kgです。同じ実施内容から、2つのモデルが出した値です。メニューで式を切り替えたことで、筋力が増減したという意味ではありません。
| セット | Epley・Brzycki |
|---|---|
| 80 kg × 8 | 101.33 → 102.5 kg・99.31 → 100 kg |
| 80 kg × 9 | 104 → 105 kg・102.86 → 102.5 kg |
| 82.5 kg × 8 | 104.5 → 105 kg・102.41 → 102.5 kg |
各組の左側は計算結果を小数点以下最大2桁で示し、矢印の先は当サイトの計算ツールが最も近い2.5 kg刻みに丸めた結果です。計算には丸める前の値を使います。そのためBとCの元の推定値には0.5 kgの差がありますが、Epleyではどちらも105 kgと表示されます。これは表示上の丸め処理であり、実施内容が同一だった証拠ではありません。
計算はセットごとに行います。この例の「最良セットの推定値」は、そのセッションの3セットで最も高い推定値を意味します。合計の21回を、1セット用の式に入れないでください。1回の場合、この計算ツールは丸める前の値として入力重量を返します。通常の1回のセットを記録しても、それが自分の最大重量だったとは証明できません。
推定値は実測した最大重量ではない
LeSuerらは、トレーニング経験のない大学生67人が行ったベンチプレス、スクワット、デッドリフトを使い、7つの式を比較しました。予測誤差は種目によって異なり、この標本では7式すべてがデッドリフトを平均的に過小評価しました。[1]この結果から、自分の記録に使える補正係数が決まるわけではありません。
Reynoldsらは成人70人を対象に、ベンチプレスとレッグプレスのテストを行いました。5回のデータは10回や20回のデータより正確に1RMを予測し、研究者はこれらの種目の線形予測に10回を超える反復を使うことに注意を促しました。[2]当サイトの計算ツールは12回まで入力できますが、入力できる範囲すべてで同じ精度が保証されるわけではありません。
これらの研究は、疲労に至るまでの反復や、複数回反復できる最大重量のテストを使っています。[1][2]まだ回数を残して止めた通常のセットは、入力条件が異なります。可能ならきつさのメモを残し、出力は記録したセットからの推定値として説明してください。この計算のために最大重量に挑戦したり、トレーニング方法を変えたりする必要はありません。
ボリュームロードが含むもの、含まないもの
Aのボリュームロードは、(80 × 8) + (80 × 7) + (80 × 6) = 1,680 kgです。「セット数 × 回数 × 重量」で簡単に計算できるのは、集計する全セットの重量と回数が同じ場合だけです。異なるセットが混在する場合は、各行を計算してから足します。
ボリュームロードは、持ち上げた質量と回数を記録上で集計した指標であり、ジュールで表す力学的な仕事ではありません。負荷を動かした距離は含まれません。成人20人の研究で、Marstonらは、ボリュームロードに統計的な有意差がない2種類のワークアウト構成でも、血中乳酸の反応が異なることを示しました。[3]したがって、合計が同じでもセッションの負担を完全には表せません。
合計に何を含めるかを決めましょう。今週からウォームアップを加える、以前は片方だけ数えていたダンベルを両方数える、マシンとバーベルの記録を混ぜる、といった変更で数値の意味は変わります。急な増加は記録方法の変更かもしれません。合計が増えたことだけでは、筋肉の成長を測れず、新たな1回最大重量を確定することもできません。
同じ種目を同じ条件で比較する
- バリエーションと器具をそろえます。インクラインプレスとフラットプレスは分け、別々のマシンを識別できるようにします。
- 負荷の記録ルールと単位をそろえます。バーベル全体の重量を一貫して記録してください。ダンベル1個分と合計重量については、ダンベル重量の記録方法を参照してください。
- 集計するセットを統一します。ウォームアップにラベルを付け、ワーキングセットの合計はワーキングセットの合計と比較します。
- 計算式を統一します。EpleyとBrzyckiを切り替えると、セット自体が同じでも推定値は変わります。
- 動作ときつさのメモを読みます。可動域、ポーズ、補助、止めた時点が変わると、単純には比較しにくくなります。
役立つ記録の見直しでは、「80 kgで1回増えた」「8回できる重量が増えた」「集計したセットのボリュームが増えた」のように変化を具体的に述べます。トレーニング記録テンプレートで元の入力値を残してください。意味の説明がないスコアより、日付と実施内容が並んだ記録のほうが検証しやすくなります。
回数PRと重量PRは同じ?
違います。ここでの回数PRは、同じ負荷で回数が増えたことです。8回の重量PRなら、8回できる負荷が上がったことを意味します。アプリによって名称は異なるので、定義を確認してください。Cの82.5 kgで8回という記録が、Bの80 kgで9回という記録を消すわけではありません。それぞれの記録には固有の条件があります。
進捗にはどの指標を使えばよい?
知りたいことに合う指標を使います。回数を見直すなら同じ重量での回数記録、集計した負荷量を見直すならボリュームロード、個々のセットを式に基づいて比較するなら同じ方法で計算したe1RMを使います。3つとも実際のログと一緒に残してください。異なる角度から実施内容を説明する指標であり、どれもトレーニングプログラムを総合的に判定するものではありません。
出典
- [1]LeSuer DA, McCormick JH, Mayhew JL, Wasserstein RL, Arnold MD. The accuracy of prediction equations for estimating 1-RM performance in the bench press, squat, and deadlift. Journal of Strength and Conditioning Research 11(4):211–213, 1997. doi.org/10.1519/00124278-199711000-00001
- [2]Reynolds JM, Gordon TJ, Robergs RA. Prediction of one repetition maximum strength from multiple repetition maximum testing and anthropometry. Journal of Strength and Conditioning Research 20(3):584–592, 2006. doi.org/10.1519/R-15304.1
- [3]Marston KJ, Peiffer JJ, Newton MJ, Scott BR. A comparison of traditional and novel metrics to quantify resistance training. Scientific Reports 7:5606, 2017. doi.org/10.1038/s41598-017-05953-2
