ダブルプログレッションでは、反復回数と負荷という2つの変数を追います。よくある方法では、負荷を一定に保ちながら選んだ範囲内で回数を増やし、決めた回数の条件を満たした後に負荷を変えます。分かりやすく記録するには、ルールと実際の結果を分けて残します。「8〜10回を3セット」だけでは、いつ負荷を変える予定なのかは分かりません。
このガイドは、すでにあるルールを記録し、確認する方法を説明します。以下の数値は例であり、そのまま実施するプログラムではありません。自分やコーチが選んだプランでは、回数の範囲、セット数、増量幅、きつさの条件が異なることがあります。「ダブルプログレッション」が常に同じ意味だと思わず、詳細を書き残してください。
結果を解釈する前にルールを定める
この例に限り、同じ負荷でワーキングセットを3つ、回数は8〜10回とし、次の重量に進むには3セットすべてで10回に達することが条件のプランを想定します。選ばれた増量幅は2.5 kgです。種目、器具、負荷の記録ルールは同じままにします。ここでは、そのルールの下で何が起きるかを記録しており、特定の人にそのルールが適しているかを判断しているわけではありません。
| 項目 | 記録したルール |
|---|---|
| 種目の識別 | すべての行で同じ種目のバリエーションと器具を使う。 |
| 集計するセット | 完了したワーキングセット3つ。ウォームアップは除外する。 |
| 反復回数の範囲 | 1セットあたり8〜10回。 |
| 重量を変える条件 | 3セットのそれぞれで10回を記録する。 |
| 選んだ増量幅 | 2.5 kg。例として設定した値であり、すべてに当てはまる増量幅ではない。 |
6回のセッションで見るダブルプログレッション
各記録は実際に完了した結果として読みます。セッション番号は順序を示し、推奨する週あたりの頻度ではありません。表では意図的に3セットの回数を残しています。合計だけでは、全セットが条件を満たしたか分からなくなるからです。
| セッションと完了した内容 | この例のルールに基づく解釈 |
|---|---|
| 1:40 kg・8 / 8 / 8回 | 合計24回、ボリュームロード960 kg。条件は満たしていない。 |
| 2:40 kg・9 / 8 / 8回 | 合計25回、ボリュームロード1,000 kg。完了した回数が1回増えた。 |
| 3:40 kg・10 / 9 / 8回 | 合計27回、ボリュームロード1,080 kg。10回に達したのは最初のセットだけ。 |
| 4:40 kg・10 / 10 / 9回 | 合計29回、ボリュームロード1,160 kg。3セット目が10回未満。 |
| 5:40 kg・10 / 10 / 10回 | 合計30回、ボリュームロード1,200 kg。定めた条件を満たした。 |
| 6:42.5 kg・8 / 8 / 8回 | 合計24回、ボリュームロード1,020 kg。記録は新しい重量の段階に入る。 |
セッション3は最初のセットで10回に達していますが、それだけではこのルールを満たしません。満たすのはセッション5です。実際のプランが最初のセットを条件としていたなら、解釈は異なります。1つの結果が好ましく見えたからといって定義をひそかに変えず、記録で評価しているルールを保ちましょう。
6回のセッションの記録例CSVをダウンロード(英語)。列の構成を自分の記録にコピーし、自分が使うルールも一緒に残してください。ファイルにあるのは入力例であり、自動的な推奨やスケジュールではありません。
重量が増えてもボリュームが減る理由
セッション5のボリュームロードは40 × (10 + 10 + 10) = 1,200 kgです。セッション6は42.5 × (8 + 8 + 8) = 1,020 kgです。1回あたりの負荷は6.25%増えていますが、記録上のボリュームは15%減っています。計算上の矛盾はありません。回数の減少が、重量の増加を上回っているのです。
このため、ボリュームのグラフだけではダブルプログレッションのルールに従ったか判断できません。その変化が個人のプログラムにとって良いか悪いかも分かりません。負荷、回数、ルールを一緒に確認できるようにしてください。推定1RM、ボリューム、回数PRのガイドでは、各集計値が答える問いの違いを説明しています。
予定と完了したセットを別の欄に残す
目標は予定した内容を、結果は実際に起きたことを示します。プランが8〜10回でも、完了したセットが7回なら7と記録します。結果を目標範囲の下限に置き換えると見た目は整いますが、セッションを見直すために必要な根拠が失われます。
- セッションの結果の前に、種目、単位、負荷の記録ルールを残します。ダンベル1個分の数値と合計重量は別の入力です。
- ワーキングセットごとに欄を分け、完了状態も残します。スキップしたセットや未記録のセットは、完了した目標ではなく、根拠がない状態です。
- ルールの回数範囲と重量変更の条件を、プランや明確にひも付いたメモに記録します。
- 予定したきつさの条件と、実際に報告したきつさは分けます。プランにRIRを使う場合は、余力回数の記録方法を参照してください。
- 器具、ポーズ、補助、動作の変更など、連続する結果を単純に比較しにくくする点をメモします。
例えば12 / 9 / 9も10 / 10 / 10も合計30回ですが、この例の「3セットすべて10回」という条件を満たすのは後者だけです。合計回数を条件にするなら、それは別のルールです。同様に、4セット目を追加すると集計対象が変わります。元の3セットの比較を、説明なしに置き換えるべきではありません。
研究から分かること、分からないこと
Plotkinらは筋力トレーニング経験のある43人を、8週間にわたり負荷を増やす群か回数を増やす群へ無作為に割り付けました。結果は、その研究内では両方の方法が実行可能な選択肢であることを支持しました。[1]ただし、上の例で使った厳密な3セットのルールが最善であることや、誰もが同じセッション数で重量を増やすべきであることを示したわけではありません。
Chavesらは、それまでトレーニング経験のなかった39人の参加者内で、10週間のレッグエクステンションにおける負荷の増加と回数の増加を比較しました。どちらの条件でも測定した筋力と筋断面積が増え、条件間に有意差はありませんでした。[2]これは研究で用いた方法と参加者についての根拠であり、個人の記録に対する保証でも、あらゆる進め方の妥当性を示すものでもありません。
QuietGainsで完了した内容を読みやすく残す
QuietGainsの進行中のワークアウトには、編集できる重量と回数の操作欄があり、過去の結果があれば「Last time」の比較も表示されます。表示された数値を確かめ、実際に完了した内容を入力し、次の比較に使えるよう保存する。この作業を進めやすくします。この記事の例のルールは、アプリ独自の提案ロジックとは別です。
ダブルプログレッションでは毎回PRが必要?
いいえ。この記録方法では、同じ結果、回数の減少、セッションの欠落、重量の変更も表せます。前回と同じ結果の行も役立つ履歴です。プログラムを変えるかは別の判断であり、横ばいの結果を進歩したように書き換えるべきではありません。
代わりに推定1RMでセッションを比較できる?
推定値は補足情報になりますが、すべてのセットの回数条件を確認するものではありません。最初のセットが良ければ高い推定値が出ても、後のセットが記録した目標に届いていないことがあります。1RM計算ツールは説明されている計算のために使い、進め方のルールを確認する際は個々のセットを残してください。
ゼロから記録を始めるなら、トレーニング記録テンプレートに基本的な構成があります。役立つ習慣はシンプルです。選んだルールと実際のセットを残し、意味が変わった場合は分かるようにしましょう。
出典
- [1]Plotkin D, Coleman M, Van Every D, et al. Progressive overload without progressing load? The effects of load or repetition progression on muscular adaptations. PeerJ 10:e14142, 2022. doi.org/10.7717/peerj.14142
- [2]Chaves TS, Scarpelli MC, Bergamasco JGA, et al. Effects of Resistance Training Overload Progression Protocols on Strength and Muscle Mass. International Journal of Sports Medicine 45(7):504–510, 2024. doi.org/10.1055/a-2256-5857
